【留学生の自己分析・差別化のポイント】

経験者なら誰もが感じていることですが、留学生は就活に関する情報を入手しにくいもの。Web上の情報も増えていますが、それでも国内と比べるとまだまだ情報格差がある状況です。

帰国が4年生の春の場合、待ったなしで就活に突入しなければなりません。
情報が少ない分、出来れば早めに準備を始めたいですね。

そんな留学生が、最初に取り組むべき就活のトピックはやはり自己分析です。

今回は留学生が自己分析をする際に気をつけて欲しいポイント、他の留学生との差別化のポイントをお伝えします。

【自己PRでありがちなNG例】

留学生のサポートをしていてよく見かける例が以下の2つ。

「①英語力が向上しました」「②海外の友達を多く作れた」

皆さんも、これに当てはまっていませんか?

では、なぜこれらのPRではいけないのかを解説していきます。

まず「①英語力が向上しました」ですが、留学に行っている以上英語力が(程度の差はあれ)向上するのは最低限超えなきゃいけない、当たり前のラインです。
また、これに関しては全ての留学経験者に当てはまることなので、皆さんがどういった人かが分かりません

留学経験者からすると「英語の伸びは人それぞれで、全く伸びない人も居る」という現実を知っていますが、人事が必ずしも留学経験者とは限りません。
厳しいようですが、現地でネイティブのグループに入り込む努力をし、英語漬けの毎日を送りながら一生懸命英語を勉強したとしてもそれ自体が大きな
PRにはなりにくいのが現実です。

加えて日系企業であれば、いきなり海外部署や現地駐在は殆ど無く、まずは国内の基本業務に従事するケースが大半です。基本的に全ての部署への配属可能性のある“総合職”として採用する企業が多く、(本人の英語力レベルに関わらず)海外の部門に関係のないポジションでキャリアを築いていくことも十分に考えられます。また、英語など言語だけが出来ても、その企業の基本となる仕事が出来ないと戦力にはなり得ません。

「②海外の友達を多く作れた」は将来海外で働く上で、自分と全く違う人と上手くやっていく事が出来ることを証明できる良いPRのように感じます。
しかし、留学中どんなに頑張って(他の日本人と違い)現地でのコミュニティに入り込み、活きた英語を学んだとしても就活の面接では評価されません。何故ダメかと言うと「友達をつくる力」と「海外の人とビジネスを行う力」は違います。
また、こちらも英語力と同様、難しさを分かってくれるのは留学経験者だけです。

2つのNG例で共通して欠けていることは「企業が何を求めているか」という視点です。

企業は「英語力のある人」を求めているのではなく、「会社に貢献してくれる人」を求めています
英語が出来ることで、会社に利益をもたらし貢献出来る時が来るかもしれませんが、“その時“は一生来ないかもしれません。

ですので、企業が求めている点を理解して、それに沿ったアピールをすべきです。

【どうすれば良いのか】

①自分だけの強み

②海外部門でなくても活きる強み=再現性のある強み

上記2点をNG例からの学びを参考に考えてください。

この2つの視点で考えることで、いわゆる差別化・差異化が可能です。

これを考える手法として、以下の2つの方法があります。

1.深掘りをする=縦に広げる
2.他の視点に焦点を当てる=横に広げる

筆者自身の経験で具体例をお伝えします。

具体例


筆者は大学
3年次に留学をして、強制的なアウトプットの機会を多く持つことで、TOEIC400台から900点台に英語力を伸ばしました。
TOEICの点数が本当の英語力か、という議論はここでは割愛します)

結果は企業人事が分かりやすい点数で伝えましたが、そのアプローチは他の留学生と異なり「とにかく強制的なアウトプットの場に身を置いた」という点を強調しました
非ネイティブである日本人の英語はどれだけ頑張ってもブロークンな英語であることを受け入れて、恥ずかしさを捨て去る度胸を持ち、
1人で発表を行う大学授業を履修する・ワインバーの仕事でお客様とやり取りをしなくてはいけない状況に身を置きその準備をせざるを得ない環境に身を置きました。

総合商社のグループ面接では一緒のグループになった学生は全て留学経験者でしたが「英語の勉強・予習復習を頑張り、最高評価を獲得した」というアピールが多い中で、「やらざるを得ない環境に自ら飛び込む度胸や強さ」という自分だけの良さを伝えられたことで面接を突破できました。

<深掘り=縦に広げる>

英語力を向上させる上で、他の留学生と違うアプローチ・もしくは他の留学生と比較して圧倒的に注力した方法は何だったか考えることで自分だけの強みに昇華されます。

筆者の場合は深掘りした結果、①自分だけの強みとして「強制力のある努力せざるを得ない環境に飛び込む」という点に帰結しました。

<視点を変える=横に広げる>

筆者の留学ストーリーの結果は「英語力(TOEIC点数)」で示しましたが、英語を必要としない企業でも評価されるように「自己成長のために強制的な環境環境を創る事ができる」という強みを意識して伝えました。
「英語力」ではなく「成長意欲に基づく実行力・タフさ」に視点を変えることで、②海外部署でなくても発揮される再現性のある強みが示せるようなっています

<まとめ>

留学先でのエピソードを語る際は「企業が知りたいこと・求めているもの」を意識した上で、以下の2点に留意して自己分析をしましょう。

①自分だけの強み
②再現性のある強み

これらを考える際の手法として2つ手法で考えてみましょう。

1.「深掘り=縦に広げる」
2.「視点を変える=横に広げる」

筆者の例では「英語力を高めた」という視点でお伝えましたが、「友人をつくる」というトピックでも「深掘り=縦に広げる」「視点を変える=横に広げる」手法のどちらかで企業人事から評価されるアピールになります。
留学という変えがたい経験をしている皆さんは、その中で良さがより伝わるように自己分析を行って就活を有利に進めていきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

志禮 直也

大学3年次に現地ワインバーの立ち上げに従事しながら1年間のイギリス留学を経験。メガバンクのホールセール業務・採用業務を経験。ホールセール業務を通じて知ることが出来た「名前も知らない素敵な企業」に第三者視点からスポットライトをあてるべく、採用業務を通じて感じた問題意識である「学生1人1人に最適なキャリア」を実現させるべく株式会社ツイングを設立。